かかる言葉と受ける言葉

前回のブログで、「書く人のつもりと、読む人の受けとりのずれ」について書きました。

そのずれが生まれる原因のひとつ——伝える順番です。

 

作文を書いていると、自分ではよくわかっているので、思いついた順に書いてしまうことがあります。

でも、あとで読み返すと「なんとなくわかりにくいな」と感じること、ありますよね。

 

作文は、自分を知らない人にも、すっと伝わるように書くことが大切です。

 

そのために、教室では「書くときに気をつけること」をいくつか意識しています。

そのひとつが、「かかる言葉と受ける言葉を近づける」です。

 

まずは、こんな作文から。

 

△ 私は、他の音楽会で鉄琴を担当している友達といっしょに、昼休みに練習したいと先生に頼みました。

 

「他の音楽会?」「他の友達?」

どちらのことか、分かりにくいですね。

 

◯ 私は、音楽会で鉄琴を担当している他の友達といっしょに、昼休みに練習したいと先生に頼みました。

 

「他の」と「友達」が近づいて、意味がはっきり伝わります。

 

もう一つ、修学旅行の作文から。

 

△ 私は、修学旅行で1番友達とおそろいのキーホルダーを買ったことが思い出です。

 

「1番」がどこにかかっているのか、少し分かりにくいですね。

それだけでなく、「私は〜が思い出です」では、文の形が少し不自然です。

何が・どうした、のつながりが合っていません。

 

◯ 修学旅行で友達とおそろいのキーホルダーを買ったことが、いちばんの思い出です。

 

「いちばん」が「思い出」に近づいて、意味が自然に伝わります。

「買ったこと」が主語、「思い出です」が述語です。

主語と述語も、かかる言葉と受ける言葉の関係です。

修飾の関係とは少しちがいますが、どちらもつながりが合うと、文の形がすっきりして、伝わり方も自然になります。

 

かかる言葉と受ける言葉を確かめると、文の輪郭がくっきりします。

 

読む人がすらすら理解できて、伝えたいことが正しく届く。

 

そんな文を書いていきたいですね。